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かつて、この「ドール」では、２度に渡り人間と魔物の生存をかけた大きな戦いがあった。最初の戦いでは、勇剣士「コナン」の勇気ある働きによって終止符が打たれ、ドールの地に平和が訪れた。
しかし、平和はそう長くは続かなかった。先の戦いで僅かに生き残った魔物達は戦力を整え、また魔王を主として再び地上に姿を現し、その勢力を広めようとした。だが、この戦いにおいても勇気ある若者「ラル」の、コナンに劣らぬ働きにより、魔王「ルウ」を倒したのであった。
ドールには平和が蘇り、人々はいつしかその忌まわしい過去の出来事を忘れつつあった。しかし、悪魔の悪戯か、魔王ルウは復活した。そして、平和の象徴であった光り輝くドールの城からは人の気配が消え、輝きが失せて上空は暗雲に覆われていった。
ドールの住人達は言い知れぬ不安と恐怖の中、ただ、この事態を見守るより他無かった。そんな人々の前に、ある日、城門が開かれ、魔物達が出現したのである。恐怖に顔を引きつらせた人々を前に、１匹の魔物が進み出て叫んだ。
「これよりこの国は魔王ルウさまの支配下に置かれる。刃向かう者には死あるのみだ」。
今のドールには、魔王に立ち向かおうという勇気ある者は誰一人いなかった。戦う事を忘れてしまった人々に出来ることと言えば、神殿に集まり集まりただ祈るだけであった。神殿では、長老がかってドールの地を救った２人の勇剣士伝説を説いて聞かせた。人々は勇剣士の再来を願って一心に祈り続けた。が、魔物達の悪行は留まることを知らず、ドールの街には絶望が蔓延し始めていた。そんなある日、１人の若者が神殿に姿を見せた。
神の啓示を受けてやって来たと言うその若者を見て長老は絶句した。
「あなたは勇剣士ラル…。」
ラルの血を引く若者は、人々の期待を背に魔王に立ち向かっていった。
かってラルがそうしたように…。 |
